携帯ゲーム機に新たな波
デュアルスクリーン機の再浮上、SteamOSの拡大、そして価格高騰が携帯ゲーム機市場の流れを変えつつある。

携帯ゲーム機は、同時にいくつもの方向で変化している。ひとつにはデュアルスクリーン搭載モデルが増え、もうひとつにはSteamOSがさまざまな携帯端末へ広がっている。そこに価格の上昇も重なり、単一の製品ではなく、業界全体の進む方向を示すような状況が生まれている。
この流れで重要なのは、もはやプレイヤーが単に「より高性能な1台」だけを求めていないことだ。より多様な画面構成、より柔軟なソフトウェア選択肢、そしてWindows以外の代替案までが注目されている。しかし、こうした動きは予算面で必ずしも同じ余裕をもたらしてはいない。
デュアルスクリーン設計が再び脚光を浴びる
RetroidのPocket Duoシリーズは、デュアルスクリーン携帯機という発想を再び前面に押し出した。標準のPocket Duoには2つのOLED画面が搭載されている。一方、より手頃なPocket Duo LiteはOLEDではなくIPSパネルを採用している。
同社の新しい動きはこれだけでは終わらなかった。Pocket Duo Lite+は、Lite版の発表から短い期間を置いて発表された。このモデルでもデュアルスクリーンの外観は維持しつつ、内部はより強力な構成になっている。Dragonwing Q-7790プロセッサと8+128GB構成が主なポイントだ。価格は199ドル、欧州価格は174ユーロとされている。出荷は11月予定だ。
この素早い商品展開は、携帯機市場に珍しいテンポを生んでいる。標準モデルの予約受付開始から数週間しか経たないうちにLite+が登場したことで、早期予約者にも直接影響が及んだ。Retroidはこれを受けてキャンセルおよび変更プログラムを開始した。このプログラムでは、最初のPocket Duo Liteを注文したユーザーに対し、より新しいモデルへの切り替え機会が提供される。

SteamOSはもうSteam Deckだけのものではない
SteamOSの側で大きな変化となったのは、OSがほかのデバイスにも対応するようになったことだ。AYANEO向けに用意されたSteamOS ARM for Handheldsは、AYANEO Pocket S2とPocket S2 Proへの対応で更新された。この版で注目される機能のひとつが、ARM-native Lossless Scaling frame gen対応だ。ここでいうframe genはフレーム生成を意味し、システムがより滑らかな表示のために追加フレームを生成することを狙っている。
インストール面も簡略化が進められている。Easy UFS Installerアプリによって、導入プロセスをより簡単にすることが目指されている。さらにDesktop Mode内で、Android用に割り当てるストレージ容量を選択できる。新たに追加されたSteamOS Updateアプリにより、今後ユーザーがシステムを再インストールする必要を減らす狙いもある。
Valve側では、SteamOS 3.8.28アップデートが注目を集めた。この版ではVRAMのボトルネックが修正され、新しいMesaグラフィックスドライバーへ移行している。同時に、Steam Frame Wireless Adapterに向けた事前準備も含まれている。Valveのエンジニア、Pierre-Loup Griffaisが、より広い意味でのSteamOS for Arm構想に言及したことからも、この流れが一時的なものではないことがうかがえる。つまりSteamOSは、もはやSteam Deckだけに結びついたシステムではなくなりつつある。
ここで重要なのは、SteamOSが異なるハードウェアへ広がることで、デバイスのソフトウェア体験が単一プラットフォームの制約から外れていくことだ。これは特に、携帯型PCとして機能する製品群において、選択肢の幅を大きく広げる。
価格圧力が選択肢を狭める
その一方で、価格の面では逆風が吹いている。携帯ゲームPCでは、特にメモリ供給の危機によって、端末の最低価格が押し上げられている。Steam DeckではLCDモデルがひそかに販売終了となり、手頃な選択肢はさらに少なくなったように見える。OLEDモデルでは値上がりも目立つ。512GBモデルは549ドルから789ドルへ、1TBモデルは649ドルから949ドルへ上昇している。
この値上がりは1社だけの問題ではない。市場全体で、より高価な端末が当たり前になりつつある。それでも新しいハードウェアへの関心が完全に消えたわけではない。ただし、関心が向かう先は変わってきている。データは、プレイヤーが引き続きお金を使っていることを示しているが、選ばれる対象が必ずしもhandheld gaming PCとは限らないことも示している。
ここでより目立ってきているのがNintendo Switch 2だ。これは、携帯ゲーム分野では性能だけでなく、価格と性能のバランスが決定的に重要であることを改めて思い出させる。AAA経済はなぜ同時に成長し、縮小もするのか?で触れた圧力は、この分野でも同じように感じられる。
出典
- https://www.tomshardware.com/video-games/console-gaming/handheld-gaming
- https://www.newegg.com/Handheld-Gaming-Console/SubCategory/ID-3246
- https://thegadgetflow.com/categories/handheld-gaming-devices
- https://www.gamesradar.com/hardware/handhelds/not-even-two-weeks-later-retroid-just-unveiled-yet-another-ds-handheld-and-the-pocket-duo-lite-is-causing-a-ruckus/
- https://retrohandhelds.gg/steamos-comes-to-more-ayaneo-handhelds-along-with-native-frame-gen/
- https://www.digitalcitizen.life/asus-rog-xbox-ally-x20-oled-handheld-opens-for-preorder-at-1299/
- https://tech-insider.org/steamos-3-8-28-vram-fix-arm-expansion-2026/
- https://www.pcgamer.com/hardware/handheld-gaming-pcs/handheld-gaming-pcs-are-cooked/